後漢・三国志時代の官職・文官編
■中央官
俸給 | 官品 | 官名 | 説明 | |
公 | 一品 | 相国・丞相 | 非常設で天子を輔すけて国政全般を執る最高執政官。日本で言うなら摂政 | |
太保 | 非常設で皇帝の教育輔導する官で三公より上だが名誉職。 | |||
太博 | 非常設で皇帝の指導する官で三公より上だが名誉職。 | |||
三公 | 大司馬 太尉 |
三公の一。兵事考査を行い一年ごとに戦績などを朝廷に報告し賞罰を行う。最初は大司馬としていたが改称して太尉となった。本来は非常設だがその時代の最高権力者が兼務する事も多かった官位。国防大臣 太常府、光禄勲府、衛尉府を下部にもつ |
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司空 | 三公の一。国家規模の土木工事を司る。土木工事と書くとあまりパッとしない職務に思われがちだが、辺境の村落建設計画や城砦建設。首都の主要建築物の管理修復などかなり忙しい | |||
司徒 | 三公の一。人民、民事全般を担当。通常時では三公首座で政務を行う | |||
大将軍 | 非常設で本来は反乱征伐の最高指揮官。詳しくは将軍編で | |||
比二千石 | 二品 | 三省 | 録尚書事 | 本来は尚書台の長であるが実際は三省を管理運営する筆頭官で公卿のうちで権限の重きものに加官される。上奏文等の決裁権をもつ事実上の総理大臣。丞相、摂政、関白 |
千石 | 三品 | 尚書令 | 尚書台の長。元々は皇帝の文章を管理する秘書の役割であったが皇帝が親政するに伴って皇帝側近として地位を向上させた。官吏の考課、宮中の文書発布を司り権限は強大。 政務秘書長 |
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侍中 | 侍中府、後の門下(黄門)省所属で皇帝の側近にあって、下問に備え、落度を補う。定員4名で加官は員数外。 | |||
中書監 (中書令) |
中書省の長。初め秘書令といい、中書令と改称したとき設置された。尚書からの上奏を受け、詔勅や政令などを司る。中書監の権限も絶大で九卿を軽く上回る影の実力者となる | |||
中二千石 | 九卿 | 太常卿 | 礼儀・祭祀及び天子の行う行事、王公以下諡号の選定、天文観測、音楽などを司り、また博士の能力試験を担当する。祭祀を重んじる王朝にとってはかなり重要な職務になる。 儀典大臣 |
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光禄勲卿 | 宮殿の門戸宿衛を司り、殿中侍衛の士(近衛部隊)をとりしきる。その他にも皇帝の近侍官や若手のエリートなどが所属する部署。実際は光禄勲卿自体には定まった仕事がなく、勅令があった際の使者や弔問の使者として送られたりする。 |
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衛尉卿 | 宮門の守衛、宮中の巡察を司る。光禄勲と任務がかぶりそうですがこちらは宮殿の外側の守備で光禄勲は宮殿の内側の警備です。皇宮警察大臣。 | |||
典客 大行令 大鴻臚卿 |
諸侯及び帰服した周辺民族を司り、関与の事務、諸侯の邸宅管理なども行う。外務大臣 | |||
宗正卿 | 王国の子弟の嫡庶の序列を定めて記録し、諸宗室の親等の遠近、郡国の存続年を宗室の名籍に計上した。また皇族の成年が法を犯したときは、まず宗正が諮問してから処罰した。皇族相手の為、卿には皇族が就いた。 因みに皇族は血縁関係によって認定され大抵七代までが皇族扱いでその後は一般人扱いになります。 |
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大司農卿 | 屯田、農業、貨幣、塩鉄の専売、租税管理などの財政、物資輸送、価格調整、国庫の管理、皇帝直轄領の管理などを担当。農務・財務大臣。かなり権限が大きい | |||
少府卿 | 皇室雑務を管轄。宮中服御の諸物、材木、薬、医者、飲食、膳具、酒、果物など衣服宝貨珍膳、宮中の建物の管理などを司る。宦官の各職もここに属する。内務、宮内大臣 | |||
太僕卿 | 車や馬、武器製造、宮中で使う諸製品の製作業務も司る。天子行幸(狩猟)などの監督官 今でいるなら交通、通信、軍需を司る大臣。しかしその後権限が分散され弱体化します。 |
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廷尉卿 (大理) |
刑罰・司法を司る。法務大臣 | |||
執金吾 (中尉) |
執金吾府の長。宮殿や都の警備を司り兵器の管理等を行う 九卿に匹敵し中央軍・北軍を指揮する。金吾将軍。憲兵隊司令 |
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大長秋 | 皇后府の長。皇后の宣示を奉じ、親族への下賜・謁見、行啓時の従事を行う。宦官であり、宦官の最高位。曹操の祖父・曹騰が任じられた事で有名。曹騰さんは相当すごいですな | |||
太子太博 | 太子の教育輔導する官、属官なしの名誉職。 | |||
散騎常侍 | 皇帝の側近として勅書の伝達をする職務だが加官であり功績のあったものなどに追加で与えられる名誉職 | |||
二千石 | 将作大匠 | 宗廟、路寝、宮室、陵園木土之功を修め作ること を掌り、樹など桐梓之類を併せて道側に列する。位は河南尹に次ぐ。補佐官として丞(六百石)、そのほかに左・右校令(六百石)が付く | ||
千石 | 四品 | 台官 | 御史中丞 | 御史台の長で官吏の監察・弾劾を司る。もともとは御史大夫の丞であったが御史大夫が司空になった為長官職となった。 |
都水使者 | 都水台の長で池・沼・灌漑、河水、運河の保守を司る | |||
六百石 | 符節令 | 符節台の長。胴虎符、竹使符などをつかさどる。 尚符璽郎中は4人。元は二人。璽及び虎符、竹符の半者にかかわり主とする符節令史(二百石):書を掌る. | ||
蘭台令史 | 奏上及び印工文書を司る。 |
■大司馬府
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
軍師 | |||
千石 | 長史 | 諸曹を司る | |
護軍都尉 | |||
司馬 | |||
従事中郎 | |||
参軍 | |||
主簿 | |||
比四百石 | 東西曹掾 | ||
比三百石 | 掾 | ||
比二百石 | 属 |
■司空府
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
軍師 | |||
長史 | 諸曹を司る | ||
護軍都尉 | |||
司馬 | |||
従事中郎 | |||
参軍 | |||
主簿 |
■司徒府
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
軍師 | |||
長史 | 諸曹を司る | ||
護軍都尉 | |||
司馬 | |||
従事中郎 | |||
参軍 | |||
主簿 |
■尚書台
最初は天子秘書官であったが後々には後々には実質的に九卿ではなく彼ら尚書が実務を行った
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
尚書僕射 | 左右僕射がおり、尚書令不在の場合に職務を代行する。また各尚書を統括。官吏の考課任免に当たる。 | ||
六百石 | 吏部曹尚書 | 人事及び祭祀関連の業務を担当する。隋、唐などでは尚書省の首座 | |
左民曹尚書 | 建設関連業務を担当する。 | ||
客曹尚書 | 異民族等の諸外国問題を担当する | ||
五兵曹尚書 | 軍事担当 | ||
度支曹尚書 | 土地管理、戸籍、官人への俸給などの財務関連を担当 | ||
尚書左丞 | 朝儀の案件などを司る。 | ||
尚書右丞 | 倉庫の器物、武器などを司る。在庫管理 | ||
侍郎 | 各省の次官。それぞれの省に二人任命される | ||
尚書郎 | 各尚書に六名ずつ付く文書起草官。後々には各曹の分局を担当。結構大変な職務で今で言うなら課長クラスの官僚 若手エリートがよく着く |
■太常府
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
秩千石 | 丞 | 太常府の補佐官。諸曹の取り仕切り監督を司る | |
主簿 | 庶事を司る | ||
六百石 | 太史令 | 瑞兆・災異を記録し時節・天文、星暦、新年の暦を司る。国の行事には吉凶の日を奏する。 |
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太祝令 | 祭祀に関わる。職掌として讀祝,及び神の迎送に関わる | ||
太楽令 | 祭祀に関わる。祭祀の際の音曲管理 | ||
太宰令 | 祭祀に関わる。祭祀の道具を管理 | ||
高廟令 | 守廟が職務で案行掃除を掌る。副官である丞がいない | ||
世祖廟令 | |||
毎陵園邑令 | |||
先帝陵令 | 先帝の陵園を守り,案行掃除を掌る。補佐官である丞のほかに校長という補佐官が付く。 こちらは陵園守備と盗賊取締りが役目。 また陵ごとに食官令(六百石)が一人づつおり、時節の祭祀をとりおこなっている。 |
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陵園令 | 陵園を守り,案行掃除を掌る。補佐官である丞のほかに校長という補佐官が付く。 こちらは陵園守備と盗賊取締りが役目 |
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霊台丞 | 太史令所属。天文の観察、暦の頒布を司る | ||
比 六百石 |
博士僕射 博士祭酒 |
王公以下の諡号を議定する。博士の長。 | |
協律都尉 | 楽人の監督を司る | ||
均官長 | 山陵を掌る | ||
都水長 | 治水を掌る |
■光禄勲府
宮殿の門戸宿衛を司り、殿中侍衛の士(近衛部隊)をとりしきる。皇帝の目につき易く、近衛兵(朗)はエリートとして後々出世していきます。
その為近衛部隊としての本来の役割より皇帝の側近官(議郎や諫議大夫)としたの役割が多くみられます。
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
比二千石 | 五官中郎将 | 五官郎(各部局の門の警備)の長官。 | |
左(東)中郎将 | 左署郎の長官。東部遠征軍司令官。属官として中郎(比六百石)侍郎(比四百石)郎中(比三百石)が付く | ||
右(西)中郎将 | 右署郎の長官。西部遠征軍司令官 | ||
南中郎将 | 南部遠征軍司令官 | ||
北中郎将 | 北部遠征軍司令官 | ||
虎賁中郎将 | 虎賁府の長官。虎賁(宿衛の兵、近衛兵)を司る。虎賁の定員は多いときで千〜千五百人程 | ||
羽林中郎将 | 羽林郎(皇帝警護兵)を司る。人員は漢陽、隴西、安定、北地、上郡、西河 およそ六郡良家より選び補う。日本では近衛中将クラス |
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五品 | 奉車都尉 | 天子の車馬を司る。古代では天子の馬車を司る者は国一番の 御者や勇者の為名誉職として加官される場合がある。 |
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[馬付]馬都尉 | [馬付]馬(天子の副車)を司る。名誉職として加官される場合がある。 | ||
騎都尉 | 羽林の従騎を司る。名誉職として加官される場合がある。 | ||
光禄大夫 | 朝廷での政策進言等を管轄 | ||
虎歩監(蜀のみ) | 宿衛の兵を司る。虎歩営の規模は五千〜六千程で羽林や虎賁より多い | ||
虎騎監(蜀のみ) | 宿衛の兵を司る。虎騎営の規模は五千〜六千程で羽林や虎賁より多い | ||
比千石 | 丞 | 光禄勲府副官 | |
太中大夫 | 朝廷での政策進言等を管轄 | ||
謁者僕射 | 謁者(取り次ぎ役)の長。高官の任命、百官の序列を司る。もともとは「僕射」というように弓に優れた近従で あった。 |
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比六百石 | 諫議大夫 | 朝廷での政策進言等を管轄 | |
中散大夫 | 朝廷での政策進言等を管轄 | ||
虎賁右僕射 | 虎賁郎の主で射を習う | ||
虎賁左僕射 | 虎賁郎の主で射を習う | ||
虎賁右陛長 | 虎賁の直接の主で、朝会際に殿中に在る | ||
虎賁左陛長 | 虎賁の直接の主で、朝会際に殿中に在る | ||
虎賁中郎 | |||
羽林右監 | 羽林左騎を司る。副官として丞が一人付く | ||
羽林左監 | 羽林右騎を司る。副官として丞が一人付く | ||
五官中郎 | 各部局の門の警備 | ||
常侍謁者 | 殿上の時に威儀を節するのを主とする。定員5人 | ||
謁者 | 下官の任命、百官のしるしを司る。禄高はそこまで高くないものの皇帝側近官で権力は高かった。定員30人 | ||
議郎 | |||
鉤盾令 | 苑囿を司る。 | ||
黄門侍郎 | |||
黄門令 | 省中の諸宦官をとりしきる | ||
比四百 | 八品 | 五官侍郎 | 各部局内での重要人物警備 |
虎賁侍郎 | |||
四百 | 給事謁者 | ||
比三百 | 五官郎中 | ||
虎賁郎中 | |||
羽林郎 | |||
灌謁者郎中 | 天子の客の接待、また大夫以下の弔問の使者などを行う | ||
比百石 | 中黄門 | 黄門令の属官で黄門内で給仕を行う宦官。 |
■衛尉府
宮門の守衛、宮中の巡察を司る。光禄勲、執金吾と任務がかぶりそうですがこちらは宮殿の門の守備で光禄勲は宮殿の内側、執金吾は宮殿の外側の警備です。ややこしいね
前漢では二十二の屯衛(候、司馬といった隊長格が置かれていた)を管轄。後漢では七つの宮門(平城門、蒼龍門、玄武門、北門、南掖門、東門、北門を管轄した
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
比千石 | 衛尉丞 | 補佐官 | |
宮掖門毎門司馬 | 各門の守備隊長。 南宮平城門には南屯司馬。人員は員吏9人、衛士102人。 宮門には蒼龍司馬。人員は員吏6人、衛士40人。 玄武門には玄武司馬。人員は員吏2人、衛士38人。 北門には北屯司馬。人員は員吏2人、衛士38人。 南掖門には朱爵司馬。人員は員吏4人、衛士128人。 東門には東明司馬。人員は員吏13人、衛士180人。 北門には朔平司馬。人員は員吏5人、衛士117人。 |
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六百石 | 南宮衛士令 | 南宮の衛士の長。補佐官として丞が一人付く | |
北宮衛士令 | 北宮の衛士の長。補佐官として丞が一人付く | ||
公車司馬令 | 宮殿の南門を司り、吏民の上書、四方よりの貢献、天子の招聘者を扱う。 | ||
衛士令 | 衛士を司る | ||
旅賁令 | |||
屯馬令 | 宮城内の詰所の長 | ||
衛馬令 | 詰所の長 | ||
左・右都候 | 宮内の巡察、天子の命による逮捕者を扱う。補佐官として丞が一人付く |
■太僕府
皇帝の乗る車の御者から、国営馬牧場や軍用馬の養育管理、後には兵器の製作を担当。
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
比千石 | 太僕丞 | 補佐官 | |
典虞都尉 | 狩猟を司る。 | ||
左・右中牧官都尉 | 辺郡の御苑の馬を司る。 | ||
大厩令 | 公用の騎馬の管理 | ||
六百石 | 未央厩令 | 未央宮の厩舎の担当。人員は員吏70人、卒すう(飼育員)は20人 補佐官として長楽厩丞が付き員吏15人、卒すう(飼育員)は20人 苜蓿苑官田所の守備1人 |
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家馬令 | 天子の乗馬の管理。 | ||
車府令 | 天子の諸種の車を司る | ||
考工令 | 武器製作及び宮中の諸品製作を司る | ||
路鈴令 | 主に養馬を役目とし,河西六郡界中に分在していた。漢陽にのみ流馬苑が有ったが羽林郎を以て 監領とした | ||
騎馬令 | |||
駿馬令 |
■廷尉府
裁判、刑罰を掌る。
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
比千石 | 丞 | 補佐官 | |
六 品 |
正監 | 重要な裁判を司る | |
左監 | 一般の裁判を司る | ||
右監 | 一般の裁判を司る | ||
律博士 | 刑法の考案、整備を行う | ||
諸獄丞 | |||
■大鴻臚府
外国・朝貢国の使臣の接待(諸侯及び帰服した蛮族と関係事務をとりしきる)
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
比千石 | 大鴻臚丞 | 補佐官 | |
六百石 | 七 品 |
大行令 | 使者を司る。補佐官として丞が1名、人員として吏員40人、治禮郎47人。 |
駅官令 | 通訳を司る | ||
別火令 | 火災予防を司る | ||
客館令 | 都にある諸郡国の邸を司る | ||
大行郎 |
■宗正府
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
比千石 | 丞 | 補佐官 | |
都司空令 | 水と徒刑囚を管理、監督を司る | ||
内官長 | 度量衡を司る | ||
六百石 | 諸公主家令 | 内親王家の家令。補佐官として丞(三百石)がつく | |
諸公主門尉 | 内親王家の警備隊長 |
■大司農府
年貢、人頭税、資産税などの国家財政を担当。漢代を通して変遷や新設部門などが多い為ちょっとややこしい
全国の塩官、鉄官を統括。後に郡・県に属した。
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
中二千石 | 典農中郎将 | 大きな郡で、その郡県に屯田がある場合に置かれた | |
度支中郎将 | 諸軍の屯田を司る | ||
大司農丞 | |||
比二千石 | 典農校尉 | 小さな郡で、その郡県に屯田がある場合に置かれた | |
度支校尉 | 諸軍の屯田を司る | ||
六百石 | 典農都尉 | ||
太倉令 | 郡国より輸送された穀物を受納する | ||
部丞 | 帑蔵を主とする | ||
導官令 | 御米の脱穀、乾飯の製作を司る | ||
平準令 | |||
鉄市長 |
■少府府
「山海池澤の税」(皇帝の個人資産)の管理と皇帝の私生活を補佐する役所です
皇帝側近官や宦官が多く府自体は巨大に見えるが実際は書類上少府に属しているだけ(給料決済の関係上)の者が多く少府本来の権限はあまりなかった。
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
秩千石 | 少府丞 | 少府の補佐官、諸曹の取り仕切り監督を司る。少府には丞が六人も居た | |
中常侍 | 宦官。 天子の左右に侍して,内宮に入るのに従い,内事を贊導し,顧問応対給事にかかわる. 常に皇帝の傍にいるので、絶大な権力を誇った。みんなだいすき十常侍(実際は12人いたらしいゾ) 後に秩を増されて比二千石となった |
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六百石 | 黄門令 | 宦官。 主に省中の諸宦者にかかわる、丞、従丞が 各一人いる。員吏18人. |
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太醫令 | 諸醫を掌る。属官として薬丞、方丞は各一人。 薬丞は主に薬に かかわる.方丞は主に薬方にかかわる。 |
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太官令 | 天子の飲食を司る。後に太官令は秩千石になる。 | ||
守宮令 | 御紙筆墨を司る。及んで尚書の財用とする諸物及び封泥にかかわる。 補佐官として丞が一人、員吏69人、外官丞 (二百石) |
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七 品 |
太医令 | 諸医を司る。 | |
守宮令 | 御紙筆墨及び尚書財用諸物及び封泥を司る | ||
上林苑令 | 御苑内の禽獣(ペット)を司る。丞、尉が一人、員吏58人 | ||
御府令 | 宦官。 宮中衣服の洗濯、補修を司る。丞、織室丞は各1人、員吏7人,吏従官30人 |
||
鉤盾令 | 宦官。 皇族の別荘管理を司る 丞、永安丞は各一人。三百石 苑中丞、果丞、鴻池丞、南園丞は各一人,二百石 苑中丞は主に苑中離宮にかかわる。果丞は主に果 園にかかわる。鴻池は池の名で洛陽の東二十里に在る。 南園は洛水の南に在る。濯龍監、直里監は各1人,四百石 龍も亦た園名で北宮の近くにある。直里も亦た園名である也,洛陽城の西南角に在る. |
||
中蔵府令 | 宮中の財産管理を司る | ||
材官校尉 | 材木の管理を司る | ||
黄門侍郎 | 天子の左右に侍従し,給事に中り,関から中外に通じる 諸王が殿上で朝見するに及んで、王を引いて坐に就かせる |
||
小黄門 | 宦官。 天子の左右に侍して、尚書事を受ける。 |
||
中黄門 (うかんむりに儿)従僕射 |
宦官。 主に中黄門(うかんむりに儿)従にかかわる。 宿衛し,門戸を直守する。騎従し,輿車に夾乘する。 |
||
掖庭令 | 宦官。 後宮貴人采女の事を掌る。左右丞、暴室丞は各一人で 暴室丞は主に婦人で疾病に中った者を,此室に就 け治すことにかかわる。 吏従官167人,待詔5人,員吏10人 |
||
祠祀令 | 宦官。 諸小祠祀を典中する。丞は1人 従官吏 八人,すう僕射一人,家巫八人 |
||
永巷令 | 宦官。 官婢を典じて侍使する。丞は一人。員吏6人,吏従官34人 |
||
中蔵府令 | 幣帛金銀諸貨物を掌中とする。丞は1人。員吏13人,吏従官6人 | ||
内者令 | [宮]中布張諸(衣)[褻]物を掌る。左 右丞は各1人。従官録 事一人,員吏19人 | ||
四百石 | 黄門署長 畫室署長 玉堂署長 丙署長 |
宦官 丙署長は七人で各々主に中宮別処にかかわる。 |
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比百石 | 中黄門 | 宦官。 給事禁中を掌る 後に増して比三百石となった。 |
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九 品 |
太官左丞 | 太官令配下。飲食管理 | |
太官甘丞 | 太官令配下。食器管理 | ||
太官湯官丞 | 太官令配下。酒管理 | ||
太官果丞 | 太官令配下。果物・御菓子管理 |
■執金吾(中尉)府
京師の巡察を掌る。北軍の軍士を統率し長安・洛陽城内の治安維持を担当。
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
千石 | 丞 | 補佐官 | |
六百石 | 中塁令 | 属官に丞が一人、尉が二人つく | |
寺互令 | |||
武庫令 | その名の通り武器管理を司る。属官に丞がつく | ||
都船令 | |||
式道侯 | |||
左・右京輔都尉 | 都の治安維持を司る | ||
■地方官
棒給 | 官品 | 官名 | 説明 |
比二千石 | 司隷校尉 | 首都及び近郊の治安及び朝廷官吏(皇族を含む)の不法を取り締まる。同時に首都のおかれている州の刺史の役を担う。 | |
西域都護 | |||
二千石 | 三品 | 河南尹 | 司隷校尉の下で実際に首都のおかれている郡(河南)を治める首都圏長官 |
京兆尹 | 長安近郊の県を統治する。長安が首都の場合は宰相クラスであるが洛陽に首都が移されてからは地位が下がってしまった。 属官として丞(六百石)が二名長安市令(市場管理)長安厨令(食料市場管理)などがつく |
||
四品〜五品 | 刺史・牧 | 各州を治める長官であり各郡を統治している太守の監察官。兵権も含めた州内全般の統治権を持った者が牧、統治権のみなのが刺史 毎年八月に各郡をまわって囚人の管理、官吏の考査をつけて年はじめに朝廷に報告を行った 太守の上司にあたりますが実質的には同格で太守の方が直接領土を治めている事もあり実権がありました。 |
|
太守 | 各郡を治める長官。郡に対する統治、兵権を有しており、実質的には刺史などよりも権力があった。 春に属する県を巡察して農業政策をおこない、秋、冬に官吏を派遣して囚人の裁判、考課をつける 郡のほとんどの役職はその地方の豪族が占めており結託して汚職を行うものも多かった為、上位の州刺史の監督権限が強化されたほどである。汚職だいすきっこ |
||
郡尉 郡都尉 |
郡におかれた武官で太守を補佐し郡内の武職や兵卒を司った・後々辺境を除いて郡都尉は廃止されて太守が職務を兼任した | ||
王国相 | 職務は太守と同じで王の位を持つものの領土を預かり統治する官 | ||
公国相 | 職務は太守と同じで公の位を持つものの領土を預かり統治する官 | ||
一千石 | 六品 〜七品 |
県令 | 1万戸以上の県の長。県に対しての統治権をもっていたが、中央から派遣される県令などでは地方豪族を抑える事はなかなか出来なかった為に県の主要ポストはその地の豪族などで占められたりしていた。またその為県の豪族と中央派遣の県令が結託して汚職を行う事も多かった。 |
県長 | 1万戸以下の県の長 | ||
侯国相 | 職務は県令と同じで侯の爵位を持つものの領土を預かり統治する官 | ||
六百石 | 八品 | 郡丞 | 郡の次官で文書・倉庫・獄などを司る |
四百石 | 八品 | 県丞 |
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二百石 | 九品 | 県尉 |
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百石 | 品外 | 有秩 | 県の下にある郷で行政、裁判などを行う。町長 |
嗇夫 | 小さい郷の場合に置かれる。小規模町長 | ||
游徼 | 徼循(きょうじゅん・巡査)を掌り盗賊などの取り締まりを行う公安担当。 | ||
郷佐 | 郷に属し主に郷の賦税を司る | ||
三老 | 役人というよりは郷の有力者の長老。郷の実質的なまとめ役で優秀な人材がいれば県などに推挙したりする | ||
里魁・里正 | 郷の下にある里の長。村長 | ||
亭長 | 十里ごとに設置された亭(村の外にあり交通の要所にある派出所、公営の宿屋)の長で盗賊取り締まり・訴訟担当。はみ出し者が任命されるので役人というより渡世人 | ||
亭吏 | 亭長補佐 | ||
障塞尉 | 辺境の県所属で羌夷が国境を犯すことを禁じそれに備えることが職掌 |
因みに棒級の「石」は「こく」ではなく「せき」と読み、貰える穀物の重さを示しています。
石の重さは一石=120斤=27kg
棒給の全部を穀物でもらうわけではなく、半分は銭でもらっていました。
参考文献
百官志
百官公卿表